このコラムでも以前に取り上げた「口腔機能低下症」。高齢の方によく見られる病気で、日常的な会話や食事に支障をきたすだけでなく、より深刻な全身の病気や異常を誘発するリスクがあるため、しっかりとした対策をとる必要があります。
今回はそんな口腔機能低下症の予防方法や対策方法について、江南市小郷町のグリーンデンタル夫馬が詳しく解説をします。
加齢に伴い、お口の機能の低下を実感されている方、あるいはそれを予防したい方はこのコラムを参考にしてみてください。
目次
▼そもそも口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症は、食べる・飲み込む・しゃべる・呼吸する機能が低下していく病気です
具体的には、食べ物が噛みにくい、食べこぼしが増えた、滑舌が悪くなった、むせやすくなったなどの症状が見られます。
少し前までは「オーラルフレイル」という大まかな状態を指す言葉で表現されていたもので、2018年から「口腔機能低下症」という病名が付けられて保険収載された病気です。
▼口腔機能低下症を予防・対策する5つの方法
口腔機能低下症は、遺伝的な要因によっていきなり発症するものではありません。主に、加齢による筋力の低下や唾液分泌量の減少、歯の喪失による口内環境の変化などが原因となるため、意識的に予防・対策することは十分に可能です。
高齢期に口腔機能低下症で悩まされたくない方は、次の方法で予防・対策していきましょう。
【方法1】口腔周囲筋のトレーニング
口腔機能低下症を直接的に対策する方法としては、口腔周囲筋のトレーニングが第一に挙げられます。口腔機能低下症は、口唇や舌、頬粘膜などの筋肉の衰えが発症リスクを大きく高めるからです。
そこで有用なのがお口周りの“筋トレ”です。
例えば「あいうべ体操」は、お口を「あーいーうーべー」と大きく動かすだけのトレーニングで、どこにいても簡単に行うことができます。そして、口腔周囲筋のトレーニングとしては大きな効果を発揮してくれることでしょう。特別な器具も必要ないため、継続もしやすいかと思います。
【方法2】バランスの良い食事
毎日の食事では、栄養素のバランスだけでなく、食べ物の食感のバランスもしっかり考える必要があります。なぜならいろいろな食べ物を噛むことは、お口周りの筋肉が鍛えられることに加え、歯周組織や脳にも良い刺激が加わるからです。
適度に硬いものや弾力性の高いもの、繊維質が豊富なものなどを積極的に摂るようにして、口腔機能の向上に努めてください。むし歯が誘発されるような砂糖が多い食品は、控えるのが望ましいです。むし歯を重症化させると、歯を失って噛む力を大幅に低下させてしまいます。
【方法3】セルフケアの徹底
ご高齢の方は、手を若い頃のように動かすことが難しくなったり、口内環境の悪化によって歯みがきしにくくなったりすることが多いです。
それでも頑張ってセルフケアを徹底することで、口腔機能の衰えを抑えることが可能となります。口腔衛生状態の悪化によってむし歯になる歯が増え、歯周病の範囲も広がると、お口の機能がさらに低下するという悪循環へと入り込んでしまうのです。
ご自身で適切なブラッシングができない場合は、ご家族や介助者の力も借りるようにしましょう。
【方法4】歯科検診を定期的に受ける
歯科検診は、口腔機能低下症の早期発見や予防に大きく寄与します。専門家によるチェックを数ヵ月に1回受けることで、歯周病やむし歯、お口の機能の低下を発見しやすくなるのです。
また、定期検診ではセルフケアでは取り除けない汚れを歯のクリーニングで一掃してもらえますし、ブラッシング指導も受けられます。上述した口腔周囲筋のトレーニング方法も学べますので、理想的は3~4ヵ月に1回の頻度で受診すると良いでしょう。
【方法5】水分補給をこまめに行う
唾液分泌量の低下は、唾液マッサージを行うことである程度まで改善できますが、水分をこまめに補給することも併せて行ってください。口腔乾燥は、お口の病気やトラブルに加えて、全身の感染症リスクも高めるため、こまめな水分補給で予防するようにしましょう。
その際、糖質がたくさん入っている清涼飲料水を頻繁に摂取するのは控え、基本的には水かお茶を選ぶようにしましょう。1日に水分摂取量は、1.5~2.0リットルを目安に頑張っていきましょう。
▼まとめ
今回は、口腔機能低下症を予防・対策する方法について、江南市小郷町のグリーンデンタル夫馬が解説しました。
日常生活で噛みづらい、むせやすいなどの症状が目立つようになり、重症化すると全身の健康を損ねて介護が必要となる可能性もあるため、口腔機能低下症は予防するに越したことはありません。
本文でご紹介した5つの予防法を実践するだけでも、お口の機能や健康を維持しやすくなりますので、関心のある方は今日からでもお試しください。その他、口腔機能低下症についてもっと詳しく知りたいということがあれば、いつでもお気軽に当院までご相談ください。