噛む、飲み込む、しゃべることが苦手になる口腔機能低下症。近年、高齢の方によく見られる病気で、お口だけでなく、全身のフレイル(虚弱)を引き起こしかねないため、十分な注意が必要です。
今回はそんな口腔機能低下症の予防に役立つガムの効果について、江南市小郷町のグリーンデンタル夫馬がわかりやすく解説をします。
高齢の方に、噛むことの重要性を知っていただけたら幸いです。
目次
■ガムを噛むとどんなメリットがある?
習慣的にガムを噛むと、次に挙げるようなメリットが得られます。
◎噛む力(咀嚼筋)が鍛えられる
ガムを噛む効果として第一に挙げられるのが咀嚼筋の発達です。
私たちの噛む力は、咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)、外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)からなる咀嚼筋が司っているため、これらを鍛えることが噛む力の維持・増進に直結します。
◎舌圧が高まる
ガムを噛む際には、舌も適切に動かさなければなりません。つまりは、ガムを噛むことで舌筋も鍛えられ、しゃべる、飲み込む時に重要となる舌圧も向上するのです。
◎認知機能が向上する
歯がない本数が多かったり、失った歯を適切な方法で治療していなかったりすると、食べ物をしっかり噛むことが難しくなります。
その結果、噛むことで得られる刺激が脳に伝わらず、認知機能の低下につながる可能性があります。これは噛んだ時に口腔周囲の血流が増加し、脳を活性化させる作用が得られにくくなるからです。
ガムを習慣的に噛むことで、その効果が得られるため、高齢者の認知機能の向上に寄与します。
◎唾液の分泌量が増加する
食べ物を噛むと、唾液がたくさん出てきます。この現象は、ガムを噛んだ時も同様に起こります。
ガムを噛むことで唾液腺の活動を活発化できれば、食事中の唾液の分泌量が増加して、食べ物を飲み込みやすくなります。これによって高齢者によく見られる誤嚥を防ぐことにもつながるでしょう。
さらには、唾液による殺菌作用や、食べかすを洗い流す自浄作用、歯の再石灰化作用などが歯周病やむし歯を予防しやすくしてくれるでしょう。
■ガムを噛むことが口腔機能低下症の予防に
口腔機能低下症は、食べ物を噛む、飲み込む、言葉を話す、息をする機能が弱くなっていく病気で、高齢の方であれば誰でもかかるリスクがあります。
加齢に伴って衰えるのは足腰の筋肉だけではなく、お口の筋肉も例外ではないのです。
上述した通り、ガムを噛むことで、咀嚼筋や舌筋を直接的に鍛えることが可能となることから、お口にまつわる機能の低下も防ぎやすくなります。
高齢の方にとって、ガムを噛む習慣は脳の活性化にもつながるため、日常に取り入れてみるのもおすすめです。ただし、ガムを噛む効果を適切に得るためには、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
■ガムを噛む時に注意すべきことは?
お口の健康や口腔機能低下症の予防のためにガムを噛む際には、以下の点にご注意ください。
◎噛む時間は1回あたり5~10分程度
ガムを噛むことでお口の筋肉を鍛えられるのなら、30分でも1時間でも噛み続けたい。そう考えるのは少し危険です。ガムを長時間噛み続けると、歯や顎関節に過剰な負担をかけてしまうからです。ガムを噛む時間は、1回あたり5~10分程度にしましょう。
◎強い力で噛まない
ガムを強い力で噛むことも歯や顎関節に大きな負担をかけることから、軽く噛むのがポイントです。
◎歯列全体でバランスよく噛む
ガムは、左右の歯すべてを使ってバランスよく噛むことが大切です。普段から片側の奥歯だけで噛む癖がある方は、ご注意ください。
◎キシリトールガムを選ぶ
お口の健康維持を目的にガムを噛む場合は、砂糖が入っておらず、キシリトールが配合された製品を選ぶことが大切です。キシリトールはむし歯菌の活動を抑えてくれます。
■まとめ
今回は、口腔機能低下症の予防に寄与するガムの効果について解説しました。ガムを噛むことは、お口周りの筋肉を鍛えて唾液の分泌量も増やすことで、食べる、飲み込む、しゃべる機能を改善する作用が期待できます。
ガムを噛むことは認知症予防にも効果があることから、高齢の方におすすめです。上記でご紹介した注意点に気をつけながら、お口の機能を低下させないよう日常に取り入れてみるのはいかがでしょうか。