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合わない入れ歯に注意!口腔機能低下症につながる7つのサインとは


入れ歯はお口の機能を補う大切な治療法ですが、合わないまま使い続けると「ずれる」「食べにくい」といった不具合が起こり、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。


特に注意すべきなのが「口腔機能低下症」で、噛む力や話す力が弱まり、生活の質を落とす要因になることがあります。


本記事では、合わない入れ歯の特徴と、口腔機能低下症につながる7つのサインについて詳しく解説します。


■合わない入れ歯とは?


合わない入れ歯には、以下の特徴があります。


◎入れ歯がずれる・外れやすい

食事中や会話の最中に入れ歯がずれる、合わない入れ歯の外れてしまうのは典型的なサインです。入れ歯が歯ぐきやお口に密着していないと、安定感がなくなり自然な噛み合わせができません。


◎噛むと痛い・食べにくい

合わない入れ歯では、噛む力が均等に伝わらず、特定の歯ぐきに強い負担がかかる場合があります。


その結果、硬い物が噛みにくくなり、食物繊維を多く含む食品を食べる機会も減ってしまいます。食物繊維を多く含む食品はよく噛むことで唾液の分泌が促され、むし歯予防にも貢献します。


◎発音がしにくい

入れ歯の高さや形態が合っていないと、発音に影響を及ぼすことがあります。会話の際に「サ行」や「タ行」が不明瞭になることがあり、患者様の心理的な負担にもつながります。


◎口内炎や傷ができる

入れ歯が動いて歯ぐきに強く擦れると、口内炎や粘膜の傷を繰り返しやすくなります。これを放置すると慢性的な炎症を起こす恐れもあります。


■合わない入れ歯が口腔機能低下症につながる7つのサイン


次のサインが見られる場合は、合わない入れ歯によって口腔機能低下症やサルコペニアにつながるおそれもあります。


1.噛む力の低下

入れ歯がずれて安定しないと、臼歯部で効率よく咀嚼できず、食べ物を十分に細かく砕けなくなります。咀嚼効率の低下は、胃や腸に過剰な負担を与えるだけでなく、タンパク質や食物繊維の摂取不足につながります。


咀嚼能力の低下は高齢者の栄養失調やフレイル(虚弱)の発症と関連があると広く報告されています。


2.食べにくい食品が増える

肉や生野菜、ナッツ類といった咀嚼に時間がかかる食品を避けるようになるのは、合わない入れ歯が影響していることがあります。


これにより必須アミノ酸やビタミン、ミネラルの摂取が不足し、免疫力低下や貧血の原因となることもあります。食事の偏りは、生活習慣病やサルコペニア(加齢性筋肉減少症)リスクの上昇にもつながります。


3.嚥下障害のリスク

入れ歯が合わないと舌や顎の動きが制限され、食べ物を正しく喉へ送り込む力が弱まります。その結果、嚥下障害を起こしやすくなり、誤嚥による肺炎のリスクも高まってしまいます。


嚥下機能の低下は「オーラルフレイル(お口の虚弱)」の代表的な症状であり、特に高齢の患者様では命に関わる疾患へと発展するおそれもあります。


4.発音の不明瞭化

入れ歯の高さや形態が不適切だと、舌の位置や気流が変化し、特に「サ行」「タ行」などの発音が不明瞭になる場合があります。発音の不自由さは患者様の会話意欲を低下させ、社会的交流の減少につながってしまうことも。


社会活動の縮小は心理的ストレスや認知症リスクの上昇とも関連しており、単なる発音障害にとどまらないのです。


5.唾液量の減少

入れ歯は本来、粘膜や咀嚼筋を適度に刺激し、唾液分泌を促す役割も果たします。しかし合わない入れ歯ではこの刺激が弱くなり、唾液分泌が減少してしまいます。


唾液は抗菌作用を持つ免疫グロブリンAやリゾチームを含み、お口の自浄作用・むし歯や歯周病の予防に不可欠です。その減少は、口腔乾燥症や嚥下障害を引き起こす要因となることがあります。


6.お口の筋肉の衰え

咀嚼が不十分だと、咬筋や側頭筋などの咀嚼筋群、さらには舌筋が使われにくくなります。その結果、筋肉が衰えて噛む力が弱くなる悪循環となり、舌圧の低下は誤嚥性肺炎のリスク因子ともなります。


また、噛む刺激は脳の血流を促進する役割もあるため、筋肉の衰えは認知機能低下にも間接的に関与すると考えられています。


7.全身機能の低下

食事制限による低栄養、会話減少による社会的孤立は、全身の筋力低下や体重減少を招きます。近年の研究では、口腔機能低下症はサルコペニアや要介護状態の重要な予測因子とされています。


つまり、合わない入れ歯をそのまま放置したり、使い続けることは単に「食べにくい」という問題にとどまらず、全身の健康や生活の質(QOL)の低下に直結サインなのです。


■まとめ


合わない入れ歯を放置すると「ずれる」「食べにくい」などの不具合にとどまらず、口腔機能低下症を引き起こし、全身の健康にも悪影響を与えることがあります。


噛む力や発音、唾液分泌の低下など、ご紹介したようなサインが現れたら早めに歯科医院へ相談しましょう。適切に調整された入れ歯は、患者様のお口の健康を守り、日常生活を快適にする大切なパートナーです。


すでに口腔機能低下症の症状が見られる場合は、過去のコラム「【口腔機能低下症】高齢者の口腔トレーニングについて」を参考に、トレーニングを始めましょう。わからないことや疑問に思うことがあれば、いつでもお気軽にグリーンデンタル夫馬までご相談ください。


グリーンデンタル夫馬
歯科医師
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